「あの人のパワーすごいね……」
「うーん……早苗、ごめん」
ケンゾーさんが席を外した瞬間、あたしは思わずソファに体を投げ出した。
体が重い……。
瞼も重いよー……。
「……疲れる」
目を閉じたあたしに、早苗は「あはは」と笑う。
「でも、悪い人じゃなさそうでよかった。 ただ鬱陶しいけど」
「そうなんだよー」
「だけどさ、あたしらがこうしてても、相田はなにも言ってこないんだね」
「……」
早苗のその言葉にあたしは閉じていた目をそっと開けた。
テーブルの上には、アンティーク調のライトがオレンジの光であたしを照らしている。
「あの神崎って人もまだいるし……もしかしてお店終わる時までいるつもりなのかな」
そう言って、早苗は時計を確認する。
要を待ってるのかな……。
なんてふと思って、あたしはその考えをかき消すように、ガバッと起き上がった。
「でも、今日で要バイト終わりなんだ」
「あ、そっか。 もう明日ジンさん帰って来るんだっけ」
「うん。 だからバイトがなければあの人とも会う事なくなると思うし」
「そうだね。 いくらなんでも家まで来るわけないしね」
そうだよ。
今日まで。
要と、ちゃんと仲直りしなくちゃ。
それで明日は、2人でどこか出かけたい。
2人っきりで。



