その先には……。
「おぉ! 未央ちゃんッ! 来てたんだ」
そう言ってドカドカと豪快に歩いて来る人物。
み、見つかったぁー……。
ガバッとカーテンを手で払いのけて、あたしの隣にこれまたドカリと腰を落とした人。
「偶然……いや! 運命って怖いねッ! で? この目の前の美人は未央ちゃんのお友達?」
真っ白な歯をキラリと輝かせて、彼は早苗に握手を求めるように右手を差し出した。
早苗は、その手を胡散臭そうにジトっと睨んで、片方の眉を下げながらあたしを見た。
「“偶然”ですね!ケンゾーさん。 あ、この子は、早苗です」
「あはは」なんて乾いた声で笑ってしまう。
あえて“偶然”を強調した事なんかまるでお構いなしのケンゾーさん。
「どもども、早苗ちゃんッ。 俺は、未来の未央ちゃんのハニーです」
「オモシロイヒトダネ。 ヨロシク」
うわ。
早苗! めちゃくちゃ片言だし。
早苗の額に浮かぶ青筋に、あたしは思わず引きつった笑顔を隠そうと汗をかいたグラスに手を伸ばした。
それからなぜかケンゾーさんはあたし達の席に居座ってしまった。
ケンゾーさんの趣味のハーレーの話をずっと聞かされている。
大きなジョッキを片手に、スモークサーモンを頬張ってるケンゾーさんは、ほんのり頬をピンク色に染めて「いや~日本の女の子はやっぱりかわいいな~」なんてビールをゴクリと喉に流し込んだ。
素面のあたしと早苗はお互いに顔を見合わせて、運ばれてきたから揚げを頬張りながらなんとなくうなずくしか出来なくて……。
もお、なんでこうなるのよぉ……。



