こんなに緊張したのはいつぶりだろうか。
喉がカラカラだ……。
それでもなんとか体の中になにかを押し込めたくて、ゴクリと唾を呑み込んだ。
やだな……。
要、いないといいな……。
ドクン
「いらっしゃいませ」
ドクン
聞き慣れた声に、胸が軋んだ。
要だった。
「……」
あたしがここに来た事によほど驚いたんだろう。
無造作にセットされた前髪の向こう側で、アーモンド形の瞳が一瞬だけ見開かれた気がする。
「2名でーす」
そう言った早苗は、固まっていたあたし達の間に割って入るとピっと指を出して見せた。
少しの沈黙の後、目を伏せた要はいつもの要だった。
「――……ソファ席と、テーブル席がございますが」
「ソファで」
そんな要に簡潔に応えると、早苗はあたしの腕に自分の腕を絡めた。
その間、あたしと要の視線が合う事はなくて。
もうそれだけで泣きたくなってしまった。



