―♪―♪―♪―




「んー……」



けたたましく鳴る着信音。

そっと目を開けると、カーテンの隙間から朝日が差し込んでた。



もう朝か……。



モゾモゾと手を伸ばして、鳴り止まないケータイを掴んだ。




「……もしもぉし」



掠れた声で言って、また目を閉じた。



『あ、未央? おはよう。 ってなにその声ー。 まさかまだ寝てたの?』

「マナ? うー……今起きたとこ。 ふぁあああ」



受話器の中から、なんとも元気なマナの声。

あくびをしながらベッドから起き上がると、両足を床に投げ出した。



眠たいよー……。

だって、昨日色々考えてたらほとんど眠れなかったもん。




寝癖のひどい髪と、むくんだ顔の自分と鏡の中で目が合ってあたしは足元に視線を落とした。



『ねえ、たしか今日まで相田くんバイトだよね?』

「……あ、うん。 そうだ。今日までなんだ」



時計に目をやると、すでに9時を回っていて。
要はとっくに出かけてしまっただろう。


もう5日経つんだ……。



そういえば。
バイト終わったら2人で出かけようって、要約束してくれてたっけ。


…………。



『も~、自分の彼氏の予定くらい把握しててよね』

「んー……あはは」


マナは外にいるようで、周りからはガヤガヤと賑やかな音が聞こえた。
そのテンションに、寝起きのあたしはついていけずなんとなく相槌を打つ。



『じゃあ、今日は未央ヒマだよね?』

「今日? うん、予定はないけど……」

『じゃあプール行こうッ。 久しぶりに結衣と早苗の4人で』



『今から迎えに行くからね』とだけ残してさっさと電話を切ってしまったマナ。
通話の途切れたケータイを眺めながら、嵐みたいだな……なんて思わず笑ってしまった。



少し忘れよう。

そして、要に謝ろう。
ただの『ヤキモチ』だったって、そう言おう。




――…素直になるんだ。