「まだガキの頃に、小さな情報が入ったんだ。
俺の実の親父が日本でジュエリーショップを立ち上げたって」
「……ジュエリー……」
「――うん。 俺がアクセサリーに興味あるのはそれがあるからなんだ」
「……。じゃあ、日本に来たのもそのお店に行くため?」
「まあ、そんなとこ。 あわよくばそのツラ拝んでやろうと思ってたけど、結局会えずじまいだよ。 あげく調べた住所も間違っててね。 意気込んで来たわりになにも収穫がないとなると、これは、神様が会うなって言ってるもんだと、そう思えちゃったわけ」
ケンゾーさんはそう言うと、両手を肩の位置まで上げると、大袈裟に溜息をついて見せた。
「この歳になってしょーもないでしょ」って、そう言って冗談を言う時みたいな、あの笑顔で笑った。
その笑顔が、まるで泣いてるみたいで。
「……しょーもなくなんてないですよ」
あたしは無意識に言葉を口にしていた。
「だって、いくら何年も会ってなくっても家族なんだもん。 会いたいって思うのは当然だと思います。 どんな過去があっても、許せなくても……それでも、それでもやっぱり会いたいって会ってみたいって……あたしは、その、思います……」
「……」
ってわあああ!
あたしなに言ってんだ。
目を見開いているケンゾーさんに気づいて、急に我に返ったあたしは、最後のほうは、もうほとんど口の中だけでモゴモゴしてしまって、そのままゴクリと言葉を飲み込んだ。
でも、もし要が日本に残るって『あの時』言ってたら、あたしだってきっと素直に会いたいって思って、1人でもこっちに来てたかもしれないもん。
だけど……恥ずかしい。
あたしの想いと、ケンゾーさんの過去は全然比べものにもならないのに。
カアアア
真っ赤になった頬を隠したくて、あたしは俯いた。
その時だった。



