それからあたし達は、気まずい夕食を3人でとった。
一応頑張って作った冷やしパスタも、おいしいのかどうかなんてわからなくて。
ただ舌の上を滑っていくようだった。
「はああ、つ……疲れた!」
洗面台の鏡の前で両手をついて、大きく溜息を吐く。
なんかすっごく疲労感が。
鏡の中の自分を見て、もうひとつ溜息。
日本に来てから、要とはずっと気まずいまま。
足りない気がするんだ。
大事な事が、あたし達に欠けてる。
あの人……。
大人の女の人って感じで。
短い髪も似合ってて……。
それに胸も大きかった。
……。
あたしは自分の胸に手を当てた。
ちゃんと成長してるはずなのに、あの人には負けてる。
髪だって、クセ毛だし猫毛だし。
あんなにサラサラしてない。
……ま、負けた!
いくら頑張ってみても、色気があたしにあるとは思えないもん。
鏡の前の自分から目を逸らして、あたしはガクーンとうな垂れた。
お風呂に入って、濡れた髪を乾かしながらあたしはキッチンのドアを開けた。
キッチンもリビングもすでに電気は消えてて。
ソファでは、ケンゾーさんが静かに目を閉じていた。
……もう寝てるんだ。
疲れたのかな……。
横目でケンゾーさんを眺めながら、あたしは冷蔵庫をあけて中からペットボトルを取り出した。
お気に入りのグラスに麦茶を注いで、カラカラに乾いた喉にそれを流し込む。
「……未央ちゃん」
「……ッ」
その時、寝ていたはずのケンゾーさんの声がして、あたしは持っていたグラスを落っことしそうになってしまった。
慌てて振り返ると、頭の後ろで手を組んで悪戯に微笑んでるケンゾーさんと目が合った。
「びっくりしたあ。 ……ごめんなさい。起こしちゃった?」
「んー? いや、起きてたよ。 未央ちゃんのこと眺めてた」
「……」
そのセリフでさっきの事を思い出して、思わず警戒態勢をとる。
そんなあたしを見て、ケンゾーさんは「素直だな~」なんて無邪気に笑った。



