掴まれた手首。
「――なにやってんだよ」
「……」
小さな溜息と共に、呆れたような声。
まるでスローモーションのように感じて、あたしの指が引き上げられた。
ドクンっ!
今まで鈍く鳴っていた心臓が、今度は勢いよく全身に血液を巡らせる。
そのせいでまるで火がついたみたいに体中が熱くなっていく。
「……」
「……ドジだな」
「……」
そう言ってフワリとセットした前髪の間から、あたしを覗き込むと。
血の滲む、指を。
要は丁寧に口に含んだ。
ドクンッ
ドクンッ
その横顔を見つめたまま
あたしは瞬きをするのも忘れて、ただ息を呑んでいた。
時が止まってしまったのだろうか。
どれくらいそうしてくれていたのか。
要の唇に触れてる左の中指が熱くて。
クラクラした。
「―ん。 血ぃ止まった」
「あ、うん。 ありが……とう」
ぼんやりしたままのあたしに、クシャリと笑顔を向けた要。
だけど掴まれた手が離れることはなくて。
要はなぜか、あたしを見つめたままで。
笑顔はいつの間にか消えていた。



