運ばれてきたおいしそうな料理を堪能しながら、横目でちゃんと働いてる要を目で追う。
黒のパンツに真っ黒なロングエプロン姿の要は、やっぱりいつもと違って見てるだけでドキドキしちゃう。
スマートにこなすそのスタイルはいつまででも見ていられそうだった。
「……未央ちゃん、アイス溶けるよ?」
「え? あ……わッ」
ケンゾーさんの声が聞こえて我に返ったあたし。
それと同時に、スプーンにすくったままだったアイスが、ポトリとスカートにシミをつくった。
うわーん。
このワンピ気に入ってたのに。
慌てておしぼりでふき取っていると、ケンゾーさんがその手を掴んだ。
え?
「ほら、そんなに擦ったら余計にシミになるよ。 こーいう時は叩いて拭くんだよ」
そう言って、ケンゾーさんはポンポンと叩いてみせた。
次第に薄れてい痕を見て、なんだか勝手に頬が火照りだす。
「あ、ありがとう」
「ね?」ってあたしを覗き込んだケンゾーさんからおしぼりを受け取ると、あたしは俯いたままモゴモゴと言った。
「いーえ。 どういたしまして」
ニヤリと微笑んだケンゾーさんは、イスに体を預けるとポケットからタバコを取り出した。
片手でトンッと箱を叩いて、一本だけ出てきたタバコを口に銜えると、ケンゾーさんはライターをカチッと付けてそれに顔を寄せた。
伏目がちに少しだけ眉間にシワを作ると、眩しそうにライターの火を見つめるケンゾーさん。
初めてタバコを吸う男の人を目の当たりにした。
大人だな……。
そういえば、ケンゾーさんって……。
「歳、いくつだっけ」
「―ん? 俺?」
「……え? あ、そう言えば聞いてなかったなって……」
わー!
あたし口に出してないつもりだったのに。
ポロリと零れてしまった自分の言葉に、慌てて残りのアイスを頬張った。



