「出かける……ですか?」
「うん。 こうして2人で家の中にいても全然構わないんだけど、その代わり未央ちゃんにはそれなりの事を要求しちゃうかも」
「!?」
「あははは 素直だな~。 ど? だから俺とデートしてくれない?」
「……は、はあ」
思わずうなずいたあたし。
ケンゾーさんはようやく体を離すと、ニコリと微笑んだ。
冗談で言ってるってわかる。
……び、びっくりした……。
「……ここ、ですか?」
「――そ。 ここだよ。 さ、中に入ろう」
それからすぐにケンゾーさんに連れ出されたあたしは、駅前のなじみのお店の前にいた。
――そう。
そこは“cafeANDbar JIJI”。
ケンゾーさんは、楽しそうにあたしの背中を促すと店内へと招きいれた。
その瞬間あたしを包む、チョコレートの甘い香りとコーヒーの香ばしい香り。
「いらっしゃいませ。 ……え、未央ちゃん!?」
「……こんにちはー」
花のような、春色の空気を連れて来たのは美咲さん。
あたしの顔を見るなり、酷く驚いたようにその瞳を丸くした。
――?
美咲さんの大きな瞳は、今度はキョロキョロと泳ぎだした。
「美咲さん?」



