慌てて、真っ青になったあたし。
ケンゾーさんの真っ黒な前髪は目にかかるくらい長くて、両手をついてあたしに迫るその瞳は、漆黒の光を灯してる。
要とは違う、その瞳の色。
その中に、口をパクパクさせて今にも失神寸前のあたしが映ってる。
どうしてこうなってるんだっけ?
だって、要が行っちゃって……
いきなり部屋に戻っちゃうのおかしいと思ったんだもん。
そう思ったら身動きとれなくて……
……それで。
ズズッとその手を滑らせて、ケンゾーさんとの距離はさらに縮まる。
同じように身を引くあたし。
と、同時に背中に何かが当たる感触で視線を送る。
そこにはソファがあって、これ以上後ろに下がれないことがわかった。
「あっ! あの、あの……ケンゾーさんっ!」
「……」
慌てて両手を顔の前に出して、あたしは思い切り苦笑いをする。
とにかく何か言わなくちゃ!
強引なとこ……要に似てる……。
そして、あたしはこの手のタイプが苦手だ。
なんてゆーか、慣れてる人。
ケンゾーさんは、そんなあたしの反応を楽しむかのようにさらにニヤリと口角をクイッと持ち上げると、左手をソファについて、あたしを覗き込んだ。
きゃあああ!
思わずギュッと目を閉じて、あたしは顔を背けた。
「今から俺と出かけない?」
「むっ、無理無理無理!…………え?」
でか……?



