別にほっとけばいい。
もう振り回されたくないんだ。
俺はそのままポケットに手を突っ込むと、また一歩を踏み出した。
その時だった。
深夜を回ったと言うのに、典さんは路地中響くような声で、俺に向かってこう言った。
「あたしは要が好き!
助けてくれたあの夜、あたしは要に恋をしたの! 要といたい!もっと知りたいっ。
だから……だから要っ、えっちしよー!」
「はあ!!?」
……な……なんだって?
ガバッと振り返った先には、満面の笑みで両手を振る典さん。
開いた口が塞がらないとは、このことだ。
俺はその場から身動きがとれずに、ただ「早く~」なんて叫んでる女を見つめた。
なんつー女……。
今まであたった事ないタイプ。
……アホなの? アイツもアホなのか?
呆気にとられてる俺の背後で、なにやら人の気配がして俺はようやく我に返った。
「……あれぇ? その声は、まさか要!!?」
は?
ちょっとだけハスキーな低音。
俺はその声に聞き覚えがあった。
でも、嘘だろっ!?



