「わかってるよ!」
「……や。 全然わかってねぇし。それに俺、彼女いるんで」
「それも、ちゃんと聞いた」
そう言って、真っ赤に充血した大きな瞳で俺を見据える典さん。
狭い路地に並ぶ街灯が、年上の彼女をさらに大人びて見せた。
「……それなら、これ以上俺につきまとうなよ。 迷惑だってわかんねぇ?」
未央の存在、誰に聞いたのか知らないけど。
それをわかってて、俺がバイト終わるのを毎回待ってたのか?
マジで意味がわからん……。
大袈裟に溜息をつくと、典さんに背を向けて歩き出した。
……チッ! 自転車もとりに行かなきゃなんねぇのか。
面倒くせぇ……。
ま、でも今日はいつもより早く終わったからよかったな。
腕時計を確認して、足を速めた。
「……遊びじゃないなら……いいの?」
背中から少し掠れた声が届いて、俺は思わず立ち止まった。



