――カランコロン!
勢い良く開かれた、店の扉。
俺も美咲もベルに誘われるように、顔を上げた。
そこにはやたらと長身の男。
肩にかけてるのは……ギターか?
彼はキョロキョロと店内を見回している。
誰か探してる?
待ち合わせ、か?
そう思って、彼に歩み寄ろうとカウンターから出たのと同時。
「え、あ……ジュンヤ?」
驚いたように駆け出す美咲。
ジュンヤと呼ばれた男も、美咲の声に反応してその表情をパッと輝かせた。
「あーいたいたっ、美咲ちゃん!」
「ちょっとぉ、まだバイト終わんないよ?」
恥ずかしそうに、小声で言う美咲。
少し長い髪を遊ばせて、フワリと揺らしたジュンヤは「そか、ごめんごめん」なんて人懐っこい笑顔を零した。
――俺は。 行かないほうが良さそうだな。
元いた場所に戻ると、俺は再びチョコレートに手を伸ばした。
……変わってないようで、ちゃんと時間は流れてたんだな。
なんて、そんなことをぼんやりと考えた。
金曜の今日はいつもより人が多い。
時計に目をやると、すでに深夜を回っていて。
あと1時間もしたら店を閉める時間だった。
そろそろラストオーダー聞きにいかなきゃな。
ディスプレイのガラス戸を閉めて、俺は伝票を持って立ち上がった。
いつの間にか、あのジュンヤとか言うやつはレジに1番近いテーブルに座っていて、なにやら飲み物を口に運んでいた。
美咲といえば、他の客の対応をしている。
俺は美咲のいるテーブルから1番遠い席から回ることにした。



