ちょっと待て。
やな奴のコト思い出したじゃねぇーか。
『ほんとに男?』
そう言って俺を舐めるように見た、あのケンゾーとか言う奴のコト。
この顔は生まれつきなの!
どうこうできるもんじゃないっつの。
どこをどう見て女みたいって言われるわけ?
そりゃ、確かに年下より年上のお姉さま方のウケはよかったけど。
ピクピクと痙攣する頬をなんとか抑えて、俺は引きつった笑顔を作った。
「コラコラ、結衣! そんな事言ったら彼氏が怒るよ?」
そこへまた見知らぬ顔がひょこっと現れた。
奥二重にキレイな黄色のグラデーション。
その子は、俺をチラリと見ると、少しだけ茶色がかったボブを手ぐしでといた。
……誰だ?
「え~、そうかなぁ。 そーゆうマナだって散々相田くんの事いいって言ってたよね?」
「あー、あの抱かれたい男ナンバーワン?」
――は?
額にはすでに青筋。
「え? 抱かれたい男?なにそれー」
「知らなかった」と身を乗り出した美咲から視線を落とし、俺は持っていた伝票をトントンと顎に当てた。
アホくさ。
――あれ、そういや未央、何してんだ?
そんな事を考えながら俺は手にしていた伝票をテーブルに置いた。
「そうそうッ。 そんなレアな記録持ってんだよね~相田くんは。 いまだ、その記録抜かれてないよ?」
「ね、ね。 実際どうなの? 相田くん的には」
「……は?」
半分うわの空で聞いてたから、急に話をふられて一気に現実に引き戻された。
「俺的にはって何?」
にっこり微笑んでみる。
できるだけ優しく。
誤魔化すように、ニコニコして俺はこの場から逃げようと立ち上がった。
「――要?」



