「あ~あ。 要ってさ、ほんとやることスマートだよね」
「……」
いつの間にか俺に並んでいた未央は、たった今出て行った客を目で追いながらポツリと言った。
それは、独り言。
そう言ったほうがいいのかもしれない。
なんとなーく聞かないふり。
そして、これまたなんとなーく見ないふり。
ジトーーーって、俺を睨む未央の顔が、見なくても想像ついた。
『触らぬ神になんとやら』
見ない見ない。
でもそんな俺を懲りずに見つめる視線を、背中に感じる。
…………。
俺は小さく溜息をつくと、まるで誤魔化すように、首元を意味もなく触った。
チラリと未央の顔に視線だけを落とすと、案の定白い目で俺を睨む未央と目が合う。
「……なんだよ?」
「べっつにぃ~」
「なに怒ってんの」
「怒ってない。 その逆だよ」
「は?」
逆?
逆って……怒ってないなら、喜んでんの?
それはそれで意味がわからん……。
「……なにそれ」
その真意が知りたくて、俺は体ごと未央に向けて首を傾げた。
なんかたくらんでる?
未央は頬をほんの少し赤らめて。
俺を上目遣いに見た。
なんだよ……。
なんの攻撃だよ……。
なあ、それ、わざとやっての?
思わず片眉がピクリと持ち上がる。
「……み」
未央―――そう言いかけた時だった。
「すみませーーーーん!」



