未央の隣に腰を落とすと、カウンターでみんなが来るのを待つことにした。
どれくらいたったのか。
さすがにイライラしてきた、その時だった。
――チリン
聞き覚えのある、その音に俺は顔を上げた。
見ると、会計を待つ客が店内を不安そうに見渡していた。
さっきの音は、店員を呼ぶベルの音。
俺がバイトしてる時からあって、よく忙しい時にあれを聴くと妙にイラついたのを思い出した。
「お客さん、待ってるね……」
「……どこ行ったんだ? あいつら」
藤森達がいないのはまあ、いい。
だけどジンさん、それに美咲もまだここにいるんだろ?
あんたら何してんだよ。
「……」
「……」
イライラ
イライラ……
「……あー! くそッ」
「え? あ、ちょ……要!?」
勢い良くイスから立ち上がると、俺は迷わずそこに向かった。
ビクリとした未央に「待ってて」と告げて、俺はクシャリと髪をすいた。
――なんなんだ。
出てくるなら出てくるで、タイミング考えろっつの。
つか、俺……こんなことしていいのか?
そう思いながらも仕方なく、俺は待ってる客の元に向かうとレジを打った。
「……お待たせして、申し訳ありません。 お会計をさせて頂きます」
ペコリと頭を下げて、ほんの少し口元を緩めた。
若い女の子達の客で、彼女達は「い、いえ! おいしかったです」なんて言ってほんの少し頬を赤らめた。
「また来ます!」
そう言って笑顔で店を後にする彼女達の背中を見送ると、俺は深い溜息をついた。



