―カランコロン
あの時と同じ。
金色のドアノブを掴むと、飴色のドアを開けて店に足を踏み入れた。
店内は昼間でも少しだけ薄暗くて。
相変らず、甘いチョコレートの香りが俺を包んだ。
「あれ? みんないないね。 それに、ジンさんもいないみたい」
「……」
キラキラと光るディスプレーには、宝石みたいなチョコが並んでる。
変わんないな。
なんてそれを眺めていた俺の横からヒョイと顔を覗かせた未央は、そう言って首を傾げた。
確かに。
客はいるけど、そこに店員の姿が見当たらない。
藤森や、あの背の高い未央の友達の姿も。
一体どーなってんの?
……って。
だいたい、俺にはわかるんだけどね。
「なぁーんだ。 早く来いって言うからなんだろーって思ってたのに。 みんないないじゃん」
未央は溜息を漏らすと、肩にかけていた愛用の星の飾りがついたシルバーのショルダーを下ろすと、カウンターのイスにトスンと座った。
「でも懐かしいねー。 ね?要」
「うん。 全然変わってない」
立ったままいる俺を見上げると、未央は頬杖をついて笑った。
そんな未央にチラリと視線を落として、俺は同じように笑みを零す。
まるで、ここだけ時間が止まっていたかのようだ。
カウンターの上の、たくさん並んだクッキーや、飴玉。
置物の、アンティーク調のコーヒーメーカー。
ステンドガラスのような花瓶、それにフランスかどっかから取り寄せたとかの猫の置物。
なにもかも、あの頃のまま。



