あたしを見つめていた要の唇が、小さく息を吸い込んだ。
「思ってたんだけど」
「……え?」
……ドキン
あ、あの時と一緒だ……。
『未央って俺のこと好きなの?』
まだあたし達が付き合う前、このリビングでの出来事が蘇ってきた。
あたしをからかうような、そんな悪戯な笑みを浮かべて。
あの時の要はあたしにそう言ったんだ。
また同じ言葉を言われるような、不思議な感覚になる。
「向こうでの事で、まだ怒ってんの?」
「へ?」
ポケットに手を入れながら、要は伺うようにあたしを覗き込んだ。
なんだか急に現実に引き戻された感じ。
……向こうでの事って……ジーナさんとのキス疑惑?
「違うよ」
なんか今度はヤな事思い出しちゃった。
「じゃ、なんだよ。 はっきり言ってくんなきゃわかんないだろ? せっかく帰ってきたのに、お前なんかずっと不機嫌」
呆れたようにそう言って「はあ」って溜息をつきながら要は後ろ髪をくしゃりとすいた。
――ズキン
「そ、それは要じゃん!」
「俺?」
「そうだよ、飛行機乗ってる時からそうだったじゃん。こっちについてからもずっと黙ってたし。 それにおばさんが旅行に言っちゃうのもあたしに内緒にしてたでしょ」
ダメだ……。
なんだかイライラしちゃう。
きっと要の言う通り。
あたし、あの事気にしてて。
ずっとココロの中がモヤモヤしてた。
1度溢れた言葉達は、あたしの想いとは裏腹に顔を出す。
ただの八つ当たりなのに……。



