夏休みに入ったばかりの7月最後の週。
思ったよりも首都高速に車が少なくて、スムーズに目的地に到着した。
真っ白なタイルが使われた、三階建ての相田邸。
玄関の飴色のドアも。
緑の芝生も。
庭の大きなキンモクセイの木も。
以前とちっとも変わらない。
たった1年半行っていただけなのに、すごく懐かしい気分になった。
「それじゃ、また後でね?」
ぼんやりと相田邸を見上げていたあたしに早苗は声をかけると、またタクシーに乗り込んだ。
「う、うん」
あたしは少しぎこちなく笑顔を作ると、早苗達に手を振る。
それを確認したように、タクシーは滑り出した。
あっと言う間に消えてしまったその姿を見送ると、すぐ近くに要の気配を感じた。
「口、開いてるぞ」
「えッ」
ポンって感じで軽くあたしの頭を小突くと、要はさっさと玄関の戸を開けて中に入って行ってしまった。
「ただいまー」
大きな荷物をボスンと玄関に置いて、靴を脱いでる要を追う。
パタパタと足音をさせながら、リビングのドアが開いて相変らず健康そうな女の人が顔を出した。
「あっ、おかえり! 早かったのね」
あたし達を見た瞬間、その顔に花が咲いたかのようにパッと明るくなった。



