持っていたキャリーバッグと大きな鞄を放り投げて、思わず駆け出した。
だって。
だってあたし、『帰る』って連絡してないのに……。
駆け寄ったあたしを待っていたのはあの頃と変わらない、優しい笑顔。
「なんつー顔。 相変らずだな、桜井は」
「旬もなんでええ? だって、だって……こんなの反則だよ」
「あはは。 変わってなくてホッとしたあ」
早苗は、昔みたいにあたしの頭をそっと撫でるとあたしを抱き寄せて悪戯な笑みを浮かべた。
「ど? 驚いた?」
「驚いたよお……もう、驚きすぎて鼻水が……」
そう言って泣き笑いのあたしは、グズッ鼻をすすった。
こんなサプライズ、嬉しすぎる。
でも、なんで知ってたの?
その時、2人分の荷物を抱えた要が追いついた。
そして、あたしを見下ろすなりビクリと肩を揺らした。
「うわっ。なんつー顔してんのお前」
「……」
失礼だな。
ムッとして顔を背けてしまった。
「……」
そんなあたしを見て要は「ふ~ん」って感じで口角だけを少し上げて見せた。
うっ、怒らせた……?
なんとなく気まずくてスーッと要の視線から自分のものを外したのと同時。
旬がなんとも親しげに要に声をかけた。
「相田も、久しぶりだな」



