[未央sid]





真っ青な空と、太陽が近い。

入道雲を下にしながら、あたしはさっきから落ち着かない。


小さな窓から見下ろすと、大きな雲の切れ間から地上が見えた。



着いた……。
とうとう帰ってきたんだ。
日本へっ!

じーーん……。
なんか……感動……。


なんて1人先走りながら涙目になったあたしはガバッと振り返った。



「見て見て要っ、着いたんだよッ」



興奮気味に振り返ると、ヘッドフォンを耳に当てた要が、頬杖をついて目を閉じていた。

その真っ黒な髪が、飛行機の動きに合わせて揺れてる。


「要?」


遠慮がちにその顔を覗き込んだあたし。
すると、要の長いまつ毛がほんの少し持ち上がった。

伏目がちの視線が一瞬だけ絡まる。
でも……。



「わかってるから、ちょっと黙ってて」

「へ?」


さも迷惑そうに言うと、要はまたキツク瞼を閉じてしまった。




……え?


えええ?




もしかして、要ってば……。




「……高所恐怖症?」



頬が緩む。

やばい、笑いそう……。