理性と本能のハザマで目眩を起こしそうになりながら。
俺はなんとか小さく息をついた。
……。
でも、このまま押し倒しても、また枕の攻撃が待ってる気がする。
俺はワシャワシャと髪をかき混ぜながら未央の顔を覗き込む。
「……なんか、誤解してるみたいだけど」
「え?」
きょとんと首を傾げた未央を横目に、俺はまた溜息を1つ。
「ジーナとはキスなんかしてない」
「へ?」
ポカンと口を開けていた未央は、ハッとして「で、でも」と付け加えた。
「あたし見たんだもん。 カフェで……2人がキスしてるとこ」
「アホ。 誰があんな女とするか」
「じゃあなんだったの?」
……。
キスはしてない。
だけど、『なんだったの』と言われて俺も返す言葉が見つからない。
チラリと未央を見ると、食い入るように俺を見つめている。
その視線から逃れるように、宙を仰いだ。
「……さ、さあ?」
「さあ!?」
「しょーがねぇじゃん。 耳元にいきなり顔寄せてきたんだから。 俺だってわかんねーよ。 だけど、キスはしてない」
「…………」
思わずイラッとして大きな溜息と一緒に言葉を吐き出した。
……しまった。
いくらジーナとなにもないにしても、ちょっと言い方きつかったかな。
黙ってしまった未央は、律儀に正座をしていて。
その腿の上に乗せられていた手をギュッと握ったのがわかった。



