「……マスター」
「うんまいぞぉ、俺のオススメだ」
にっこりとひげ面が笑う。
黙ってると近寄りがたい、この人。
だけど、笑うと目尻がさがって人の良さがにじみ出てる。
でも、さ。
これって……
小さな包みに視線を落とす。
それは。
女の子が喜びそうな包装紙で包んであるキャンディだった。
しかも……
“STRAWBERRY”って書いてあるし。
俺、子供じゃないんだから。
半ば呆れながらマスターを見上げると、顔中をシワシワにして笑うひげ面と、その腕の中に抱えられた大きなアルミ製の古びた缶が目に飛び込んだ。
その中には、色とりどりのキャンディが自分の存在を主張するかのように、パステルカラーを使ってキラキラと輝いていた。
マスターが作るアクセサリーに似てる……。
キャンディはどうも不釣合いだけど。



