「あのね…真由には言おう…てか、言わなきゃいけないなってずっと思ってたんだよね…」
優が遠くを見つめながら、時々私に視線を向けてくれた。
この視線があたしの心を余計不安にさせる。
「真由は、気づいてたかな・・・・?」
優は私に視線を向かせながら言い、かすかに優は口元を緩め視線を戻す。
「気づいてた…?」
何を?
そう聞かなくても優は言ってくれた。
「私が誰を好きか。」
相変わらず遠くを見つめる優。
今にもどこか遠くに行ってしまいそうな優の手を、私は握りたかった。
どこにも行かせないよって言いたかった…。
「…真由、聞いてる?」
「…うん。聞いてる。」
「どー思った?」
「どーって…あたしの予想が当たってるかもわかんないし…」
私がそう言うと、優は勢いよく振り向き、
「気づいてなかったの?」
そう言って、視線を戻した。
「気づいてなかった…って言うか…」
「…栄太。真由の幼なじみの栄太くん。」
あーやっぱり…
栄太か…。
どこがいいのかな?
そー聞こうと思ったけど、私は言葉を飲み込んだ。
これを言ってしまったら優を確実に傷つける…
それに、あまりにも無神経だと思ったから…。
「…そっか。」
私の中で選んだ言葉は、あまりにもシンプルだった。
言った後に後悔した。
この言葉こそ無神経だったかな…?
優の表情は変わらず落ち着いている。


