『それでって?』
クッキーを食べながら、歩を見る。歩は苦笑いを浮かべて
「聞いたの?聞かれたの?」
と聞き直した。
あたしは、少し思案して、どっちも。と答えた。
「ひかるに恋なんて、存在したっけ?」
『紗知、酷くない?』
「だって、ひかるが恋バナすること無いじゃない。」
まあ、紗知の言う通り、まともに恋したことは無い。
「ひかるはどーでもいいから。滝本くんは何だって?」
あたしはどーでもいいんかい。ま、いつものパターンだから、気にしない。
『あー、なんか気になる子がいるんだって』
それを聞いた瞬間、あかりが滝本くんを呼んだ。彼はやっと顔の熱が引いたようだ。
「滝本くん、お菓子あげるから、おいで!」
「え、あ、・・・・おう!」
いきなりで戸惑っていたが、すぐに笑顔を浮かべ、やって来た。
「あ、先生いいのかよ。こんなに菓子持ってきて」
「いいんだよ。他の先生達だって、職員室で食ってんだから。」
こんなこと言う先生は、全国どこの学校を見ても、かなり特異な先生だろう。
「質問!」
これまたいきなり、あかりが挙手して、発言した。
「滝本くんは、気になる子がいるそうですが、それはこの学校ですか?」
聞かれた瞬間、滝本くんはまた紅くなる。そんで、あたしを見た。

