どうも。

春眠暁を覚えず。

何というか、まぁ、簡単に言うと、今朝、寝坊により遅刻してしまいました。

出発していく電車を後ろから眺めることしか出来ない僕は、遅刻の始末書のことを考えていました。

こんな時、みなさんもついつい考えてしまうのではないでしょうか?

「こんな時、空が飛べたら」と。

そこで、地元の友達に連絡しました。
 
何故かというと、彼は魔法使いだからです。

高校時代、成績優秀で生徒会長も務め、先生からの信頼も厚く、もちろんクラスでも人気者でした。

みんな、彼が六大学に進学すると思っていたので、彼が「魔法使い専門学校」に進学すると決心した時の学校の落胆はとても激しいものでした。

そんな彼が専門学校を卒業してから、連絡を取り合っていなかったので久しぶりに連絡をとり会うことにしました。

僕は、待ち合わせの時間ドキドキしながら待っていました。

一体どんな格好で来るのだろう?やはり黒いローブで杖を携えているのでしょうか?

「やあ、久しぶり」

待ち合わせ場所に現れた彼は、パリッとしたスーツ姿。

僕は出足を掬われた気分になりました。

「えっ?魔法使い?あぁ、そういうのもあったな・・・」

腑に落ちない僕は、根掘り葉掘り聞きました。

「専門学校?ちゃんと卒業したよ、魔法も使えるようになったさ。ただね、魔法使いの就職口なんてほとんど無いのさ」

どうやら事態は僕が思っているよりも複雑なようでした。

「魔法?使えるよ。火も起こせるさ。でも、火が必要ならマッチで十分だしね。空?そりゃあホウキがあれば飛べるさ。でも、掃除道具で飛ぶと自治体がうるさいんだよ、不衛生だってね。人間をカエルに変えることだって出来るさ。でも、人の外見を無理やり変えるのって傷害罪だしね」

魔法使いの就職口が見つからなかった彼は、現在一流企業に勤めているそうです。

しかし、その表情は決して晴れやかではありませんでした。

彼は、「魔法使いになる」という夢を叶えることが出来ました。


しかし、「夢だけでは食べれない」という現実の前に、魔法の力は無力だったみたいです。