言いたいけど言えない

「あの!!名前教えて下さい!よ、読めなくて………」

彼は頭を掻いて舌打ちして私をみつめた。

『あっ名前は!!!』

「好きです!タッタイミングとか悪くてすんません」

『う…ううん』

私は夢でもみてるのかな?

彼が下がった前髪を上げて告白してき…た。

『あっあの…っ!!』

「いつもその髪型じゃなくて良かった」

にっと笑って彼は囁いた。

「君って可愛いから」

名前も読めないのに。

名前も年齢も学校も知らないのに、彼は私を泣かせた。

(言って欲しかった言葉よりもうれしい)

両想いなのに…泣いて返事ができない。

(できないよッッッ!)




     完