「あなたなりの戒め。なのかしらね」


「何とでも取ってくれ。俺は目の前で大切な人が死んでいく姿をもう見たくないだけだ」


「あなたならそれが叶えられるはずよ。頑張ってね」


 最後にシェイクが彼女と握手をして車を発進させる。別れ際にクラクションを鳴らして角を曲がって行った。


 車に戻ったシェイクはすっかり待ちぼうけされて不機嫌な顔をしているルシアが助手席に座っていた。


「何話していたの?」


「ん?ルシアによろしくって」


「それだけじゃないでしょ?」


 意外と長い間、話し込んでいたのでそれだけではないと思ったのだろう。ルシアはシェイクに問い詰める。


「あーなんだ。仲良くねって」


「仲良くって、私とシェイクは仲の良いだけの関係じゃないと……」


「なんか言ったか?」


 ぶつぶつと独り言を言う彼女を心配するシェイク。すぐにハッと気づいてなんでもない。と手を慌ただしく振ってやり過ごす。


 そうか。とシェイクが呟いてエンジンをかける。こちらは一発でかかり、規則正しいリズムを刻みながら車を発進させた。