奥のドアが開く。



「あらぁ~恭ちゃんじゃない~

いらっしゃーい」


このキレイな女の人は哲のお母さんだ。



うちの母ちゃんとは比にならないくらいキレイ。

髪はサラサラだし、若いし、痩せてるし。


ってこんなこと母ちゃんに言ったら怒られるけど。



「じゃ、ゆっくりしてってね」


ニコッと微笑み俺の横を通り過ぎる。



うわぁ~

いい匂い。


母ちゃんからは絶対匂ってこない匂いだ。



「あ、そうだ。哲哉。


今から買い物行ってくるから凛ちゃんの面倒よろしくね?」

そう言われると明らかにヤな顔をする哲。



「ほら、そんな顔しないの。

お兄ちゃんでしょ?」


哲のお母さんは哲の頭に手を置きポンポンとする。

その顔は優しさで満ちあふれていて。


つい、その顔に見とれてしまった。