ザワザワと風が木々を揺らす。

そして俺の中で胸騒ぎが起こる。




「ね、恭ちゃん。

あたしね、一度も言われたことないんだよ?」


凛子はまだ、顔を上げようとはしない。




「あたしは言ってるのに、恭ちゃんは言ってくれない。


不安になるのは当たり前だよ。




キモチってね?思ってるだけじゃ相手に伝わらないんだよ。


いくら信じてても、やっぱり言葉って大切なんだよ」



ここでやっと凛子は顔をあげた。


凛子の澄んだ瞳からポロポロと雫が零れだした。







「ねぇ…恭ちゃん。あたしのこと、好き?」