優里亜Side


息を吐けば白い息が空中に舞う。


薄暗くなった夕方


絵梨とふたりで帰っていたときのことだった。


「ねえ・・ゆりあ?」

「何ぃ?」


「うち・・すきな人できたあ・・・。」


「ええええええっ!?」

えっ・・絵梨にすきな人ぉぉ!?


「誰誰だれっ!?」

 
「2中の1年のトロンボーンの神谷寿人。」

絵梨は少しうつむきながらマフラーで口をうずめるようにそういった。


「・・もしかして・・こないだの交流会?」
 

そう問いかけると絵梨はうなずく。

 
「写メとかは?」


「写メはないけど・・これなら。」


絵梨が見せてきたのは、この間2中の定期演奏会のときのパンフレットだった。

 
パートの集合写真とひとこと紹介文。


神谷寿人 2中トロンボーンの王子!数少ない男子部員です。

と書かれていた。


写真には結構かっこいい系の男の子が写っていた