桃川中学校吹奏楽部

長い長い廊下には

遠くからサックスパートのメトロの音がかすかに聞こえる。

遠くからトランペットの音が聞こえた。

こんがり日焼けした肌に

白い練習着。

背は高いほうみたいだから


極めて平均値な私の身長と比べると結構高い。

私と倉本君はふたりきりだった。


いろいろいじくる倉本くんを


じっと私は見ている。


「よし・・」


倉本君は小さく言った。


そして床にメトロノームをおいた。


再びメトロノームは正しくリズムを刻み始めた。


「やった!直った!」

私が喜ぶと


「だろ?俺は理科得意なほーだから」


「ゆりあちゃん~?」

するとクラリネットを持って3年生の東(あずま)先輩がやってきた。

「もぉ~ちゃんと練習しなきゃー」

そういってやってきた。

「えっと、メトロ壊れちゃって・・直してたんです。」

私がそう説明していると


「倉本ー!!」


反対側から野球部の先輩が見えた。

「お前何やってんだ!みんなしたで待ってるぞ」

「あっ、やべっ・・!」

そういうと

倉本くんは走り去っていった。


「今の子が直してくれたのー?」

倉本くんの姿が消えると、東先輩が言ってきた。

「は・・はい・・」

私がそういうと

「もしかしてさ!惚れちゃった?」


先輩がそう言うのに顔が熱くなるのがわかった


「ちょっ・・!先輩!からかわないでくださいよ!」


「まぁいいや!練習!」

遠くからほかの先輩や実由子もやってきた


熱くなった頬に、窓から入ったつめたい風がさらった