部屋の中に足を踏み入れたレイは数歩歩くと、急に足を止めた。
あたしは頭をレイの背中に思いっきりぶつけ、頭を押さえ何事かと思い、レイの顔を覗き込んだ。
警戒心を感じる張り詰めた表情で向こうを睨みつけているレイ。
その目を追うように辿ると、ファイの姿があった。
まさか……;
「誰ですか?あなたは…?」
レイは腰にさしてある剣を抜こうとする。
「待って、レイ!そいつは敵じゃない!」
あたしはレイの行動に慌ててファイの前に立ちはだかった。
尻目でファイを見やると、怖さのあまりにカーテンの中に身を隠し、ぶるぶると捨て犬のように震えていた。
「どういう事ですか?」
レイの声音はいつもどおりになったけど、警戒心はいまだに崩さない。
「こいつはファイなんだ。なんか知んないけど体が大きくなっちゃって…」
そう言うとレイは目を見張って、ファイに視線を動かした。
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