「ご主人が俺を解放してくれたからもう淋しくないっす!」
そしてファイは、あたしに可愛らしい笑顔を向けた。
その時、あたしは驚いた。
このファイのかわいらしい笑顔が、
あたしの弟、悟の笑顔に自然とかぶったからだ。
悟…?
あたしはしばらくファイを見つめた。
「どうしたんすか?」
ファイはそんなあたしの顔を訝しげに見つめる。
それでハッと我に返るあたし。
「いや……何でもねぇ。」
あたしはファイから目を逸らし、自分の太ももに視線を向けた。
ファイは、悟じゃない……
もうこの世にいない弟の悟…
でも、そんな弟の面影をファイに重ねようとしている自分がいる。
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