そこからは街全体が一望でき、街の向こうの山では太陽が隠れようとしていた。
空が茜色に染まっていくのと同時に、あたしの心も温かくなってゆくような気がする。
そういえば、お母さんも夕焼け好きだったなぁ。
「綺麗だな。」
「綺麗っすね。」
あたしはお母さんと過ごした記憶を思い出しながら、お母さんの大好きな夕焼けを見つめた。
もうすぐ、夜が来る。
*****
しばらくその景色を眺めたあたし達はベッドに腰を掛けた。
「ねぇ、ファイってさ宝玉の中でずーっと眠ってたって言ってたじゃん。
宝玉の中ってどんな感じなんだ?」
その問いで、一気にファイの表情が曇る。
そしてファイは、辛い過去を呼び戻すかのように目を閉じた。
「そうっすね…とにかく暗かったっす。
暗くて、淋しくて…
寝る事しか出来なかったっす…
でも…」
目を開けて、ファイの青い瞳があたしに向けられる。
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