それだけを言うとシーラはすっと立ち上がり、翼を羽ばたかせ上空に上っていった。
「待って…行かないで…!!」
フィリアは上空に上っていったシーラに大きく手を伸ばす。
フィリアの大量の涙が床に零れおちていく。
そんなフィリアとシーラを見ても、あたしはただ見つめるだけだった。
「泣かないで、フィリア。笑って……」
シーラはこんな時にも無理して笑顔を浮かべ、明るさを装うとしてるのが分かった。
だってもう今にも泣きそうじゃん。
「歌ってよ…最期にフィリアの歌が聞きたい」
それはシーラの本当に最期の願い。
フィリアはさっきまで伸ばしていた手をゆっくりと引っ込めると手の甲で涙を拭った。
そして軽く口角を上げて微笑んだフィリアは目を閉じ、この部屋中に響かせるように歌い始めた。
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