その風のおかげで鳥籠の天井が勢いよく吹っ飛ばされる。
あたしの流した涙も突風で綺麗にぬぐい去られ、自分自身の長い水色の髪が風にもてあそばれる。
フィリアは赤色の両目を見開かせたまま、あたしの手を握り返した。
それは振り解けないほど、強く、強く…
すると、あたしの脳に"ある風景"が直接浮かびあがった。
え…………何だこれ?
それは
果てしない草原に佇む、
風を纏う(まとう)白いワンピースを着た幼き少女の後ろ姿
そうか…
「あんたは………………
"風"に選ばれし者、フィリア」
あたしがそう呟くと、突風が止んだ代わりにフィリアの体から神々しい光が部屋中に放たれた。
「茜菜……!!」
あたしを呼ぶ声が微かに聞こえる。
きっとレイの声だろな…
そう思いながら、光輝くフィリアを見つめていた。
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