「…ちゃんと脈はある。大丈夫だ」
ノエルは片膝をついて倒れているライオスの脈を計ると、淡々と告げた。
その言葉にあたしは今までの緊張が解けて、思わず床にへたり込み、顔を両手で覆った。
本当によかった
あたしは、ライオスを救えたんだ──
「大丈夫ですか?」
レイの声が聞こえ、あたしは顔を上げてみると眉根を垂れさせたレイの顔がそこにあった。
「僕の肩を使って下さい。」
レイはへたり込んだままのあたしの腕を自分の肩に回し、あたしを立たせてくれた。
「ありがとう。」
「いえ、お礼を言われるほど僕は何もしていませんよ…」
そう言いながら顔を俯かせるレイ。
決着が着いたのにどこか暗いレイに疑問を感じたあたしは、訝しげにレイの顔を覗き込んだ。
その顔には悔しさがにじみ出ていて、強く歯を食いしばっていた。
どうしてそんな顔すんだよ
「……何を思ってんのか知んねぇけど、レイはいっぱいあたしに力をくれたぞ。」
レイはさっと顔を上げ、あたしを見つめた。
驚きで目が大きく見開いている。
「みんなを守りたい、そう思う気持ちがあたしをここまで強くしてくれたんだ。」
それはあたしの本当の気持ち。
ここまで支えてくれたのは、きっと"仲間"という存在だとあたしは思う。
「おい!!」
ふとノエルに声をかけられ、そちらに視線を向けるとキツいデコピンが額に直撃した。
「っ、つぅ〜、何すんだよいきなり、これでもけが人だぞッ!?」
「それぐらいでかい声出せるんだったらケガも大丈夫だろ。
ったく…本当に世話の妬けるバカ女だぜ」
ノエルははぁと一息ため息をつくと、あたしを呆れたような目で見つめてきた。
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