俺はまだ遠い二人に手を伸ばした。 すると、シーラお嬢様は俺の方に顔を向けた。 目からはぼろぼろと涙がこぼれ、恐怖で顔が歪んでいる。 口元を震わせ、シーラお嬢様はなんとか言葉を紡ごうとしている。 俺は目を凝らし、口元をたどる。 『タスケテ…』 その言葉を理解した時、俺は自分の無力さを悔やんだ。