「でも、それだったらライオスの胸の中にある赤い物も、壊せたんじゃねぇのか?」
あたしがそう尋ねると、レイは少し深刻そうな顔をして、ライオスの方に視線を向けた。
「僕もそうしようと試みたのですが…なぜかそこに壁があるかのように、行くことを拒絶されたのです。」
えっ!!と驚いたあたしは、ライオスに視線を動かした。
だいぶ痛みが治まったのか、ライオスは胸を押さえてた手をだらんと垂れさせ、
天井を見つめたまま動かなくなっていた。
「どうしたんだ、あいつ?」
ノエルも怪訝な顔をして、ライオスを見ていた。
その様子を見ていたあたし達は、油断してたのだと思う。
ライオスが、あたし達の前まで移動していたのに気付かなかったんだから。
それに気づいた時にはもう遅くて…
あたしの頬に、何か生温かいものが飛び散った。


