「昨日からいねぇのか?」
「そうっす。ちょっと出かけてきます、と言ったまま…」
ノエルはその言葉に更に眉間にしわを寄せる。
あいつは一体…
「ノッ、ノエル…?」
ノエルの気難しい顔を見て、ファイが恐る恐る声を掛けた。
「…なんもねぇよ。
お前はもう部屋に戻っとけ。」
「そうっすね。レイが戻ってくるかもしれないっすから」
ファイはノエルの言うとおりに、そのまま自分の部屋に戻って行った。
ノエルはファイを見送ったあと、気持ちよさそうに眠っている茜菜の方に目を向けた。
「…仕方ねぇな」
ノエルの手は自然と茜菜の手を握り
「俺が傍にいてやるよ。」
静かな部屋にノエルの優しい声だけがはっきりと響き渡った。


