大声でキーンと響く耳をノエルは両手でふさいだ。
「うっせぇんだよ、さっさと食え!」
ノエルは顔を真っ赤にして怒鳴りつけると、あたしに背を向けた。
「言っとくけど、お礼は2人に言ったんだからな。」
あたしはいたずら心でノエルに言うと、あたしはそのおにぎりを一口食べてみた。
「…しょっぱい」
「なっ!そんなはず…」
とノエルはあたしの方を振り返ったけど、我に返ったのか、また背を向けてしまった。
──分かりやすっ
あたしはそう言いたかったけど、これもノエルの優しさなんだと思って、言うのをやめた。
「今度はちゃんとおいしい奴作れ、って言っとけよな!!」
ノエルはそれでも、背中を向いたまんま何も言わない。
それにしても、ノエルってあんなに優しく笑えるんだなぁ…
あたしの言葉が効いたのかな?


