「"あの人"、か…」 マリスはふっ、と笑うと金色に輝く月を仰いだ。 「あんたがうらやましいよ。」 そして、マリスは月に向かって手をかざした。 「もっと手にいれたくなったよ、茜菜…」 そして、茜菜のあの笑顔をぐしゃぐしゃにしてやりたい… 「また会いたいなぁ…」 マリスはそのまま月を掴むように握ると 闇の中に溶けるように消えていった… 空に残された月は、悲しく、それで、美しく、街を輝かし続けた。