マリスは振り返って少し残念そうな顔になったかと思うと、すぐに笑顔に戻って、こう言った。
「あと、君の過去を全部見させてもらったよ。
結構、波乱万丈な生活を送ってきたんだね」
「なっ!いつの間に…」
と言いかけた所で自分の両手首を見た。
まさか…あの時に…!
「気づいたようだね。まぁ、誰にも言わないから安心して♪」
そして、マリスは窓を開けると、ベランダの手すりに足をかけ、外に飛び出すような体制をとった。
「待って!!あんた達は一体、何を企んでるんだよ!?」
あたしはマリスを呼び止めて叫ぶと、マリスはその体制のまま振り返って微笑んで言った。
「俺達は"ハートレス"、新世界を創る選ばれた存在だ。
また会おうね、茜菜…」
その言葉だけ残して、足で手すりを蹴って外に飛び出すと、闇の中へと消えていった…


