気持ちいい…


あたしは目を閉じて、体に心地いい風を感じた。


しばらくそのままで立ち尽くすと、窓を閉めた。


振り返って、ノエルの様子を窺(うかが)うと、ノエルはまだベッドに突っ伏して眠っている。



仕方ないなぁ…


このまま眠らないのも体に悪いし、寝るか。


そう思ったあたしは、ベッドに向かおうとした



その時だった…



「こんばんは、大空に選ばれし者。」



耳元で囁かれた男特有の声にあたしは瞬時に反応し、その場から遠のいて、振り返った。


そこには黒い長袖のシャツに黒い長ズボンと、全身黒ずくめの男の人が立っていた。


茶色のヘアバンドで前髪を上げて、顔がはっきりと見える。



顔だけ見ると、女か男か分からない顔立ちをしていた。