抱けないあの娘〜春〜




「さぁお嬢様、どちらに参りましょうか?この田村に何なりとお申し付け下さいませ。」



「田村さん、ありがとうございます。でも…お嬢様なんて恥ずかしいので、さつきって呼んでくださいね。」



「かしこまりました。さつき様。」


さつきは顔を赤らめて、
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
と、ぺこりと頭を下げた。



「じゃあ…私、水族館に行きたいです!!」




「「かしこまりました。お嬢様。」」



僕と田村が同時に言った。


「もう〜っ!!」




三人で顔を見合わせて笑った。