翌朝、田村が迎えに来た。


「咲哉様、おはようございます。ご無沙汰しております。」



田村とは…



昔から我が家に仕えてる運転手だ。


ひいじいちゃんの代から田村の一家はうちに仕えてるらしい。


親父はテレビ局のプロデューサーだが、じいちゃんはとある大きな製薬会社の会長なのだ。


親父は子供の頃から田村を慕っていて、田村がじいちゃん専属の運転手を息子に譲った時、親父が

「田村が引退なんて問答無用!!俺のそばでまだまだ頑張ってもらうからな!」


と、我が儘言って…



田村も親父が可愛いから、毎日嬉しそうに車をピカピカに磨いている。



「田村、おはよう。久しぶりだね!今日は僕の我が儘に付き合ってもらっちゃって悪いね。」



「いやいや、咲哉様のお願いとならこの田村、老体に鞭打ってでも駆け付けますぞ。今日は大事なお嬢様をお乗せすると聞いてますぞ。私も楽しみにしておりますよ。」