抱けないあの娘〜春〜




「さつきちゃん!咲哉よ、咲哉が出るよ!」


京浜学園高校側のアルプススタンドでは、興奮した可奈をよそに、さつきは祈るような瞳でバッターボックスに立つ咲哉を見つめていた。



咲哉…


私はあなたの掌が豆だらけで、潰れても必死に夜の寮の屋上でひとり素振りしてたのも知ってる。


私が心配すると、

「努力は絶対裏切らないからな。こんなの全然大丈夫だよ。でも、手を繋いだ時はごつごつしてるから…触り心地はよくないけどね。」

って優しい笑顔で返す。私は…そんな咲哉の温かい掌が大好きなんだよ。



咲哉…打って!!


あなたなら必ず打てる。



だって…努力は裏切らないんでしょ?



私は思わず、



「咲哉!!絶対打って私のところに帰ってきて!!」



と、叫んでいた…