抱けないあの娘〜春〜




「これ…私に?」



緊張して箱を開けると、小さなエメラルドがついたシンプルなプラチナシルバーの指輪が現れた。


「エメラルドって5月の誕生石なんだってさ。」


照れ臭そうに咲哉が鼻をすすってる。


手に取ると、指輪の内側に何か彫ってある。



Forever Love
(永遠の愛)
Sakuya&Satsuki
(咲哉&さつき)


と彫られていた。



「貸してみて?」



そっと指輪をさつきの左の薬指にはめる。



「さつき、誕生日おめでとう。今はこんな小さいのだけど…これは予約だよ。さつき、この同じ指にダイヤモンドのついたのと、僕とお揃いのリングをつけて欲しいんだ。」



「咲哉…それって…」



「気が早いかも知れないけど…ずっとさつきと一緒にいたいんだ。他の誰にも渡したくないし、渡さない。だから…」