抱けないあの娘〜春〜




「さつき!!」




フロアの一番奥から咲哉が走ってきた。




汗だくで息を切らしながら私をふわりと抱きしめた。



「…ごめん…嫌な思いさせて…」




咲哉の優しい腕の中。



「ごめ…ん…私…」



「さつきは何も悪くない!彼女とはとっくに別れてるんだ。僕が好きなのはさつきだけなんだ!」



咲哉の心臓の音が聞こえる。



「こんなに…誰かを大切にしたいと思ったの、初めてなのに…傷つけてごめん。」



「咲哉は…ひっく…私なんかで本当に…」



涙と嗚咽で言葉がうまく出てこない。



「さつきじゃなくちゃ嫌なんだ。まだお互いのことよく知らないかもだけど、これからゆっくり二人で楽しい時間を作りたいんだ。なのに…僕…」



抱きしめる腕の力が強くなる。